こんにちは。編集者の藤本智士と申します。普段は兵庫県神戸市を拠点に、さまざまな雑誌を作ったり本を作ったりしています。最近は秋田県の「なんも大学」というネットメディアの編集長もさせていただくなど、全国各地でお仕事をさせてもらう機会が増えている僕は、沖縄にも幾度となく訪れているのですが、うるま市に滞在したのは今回がはじめて。
ということでここでは、僕がどうしてうるま市に興味を持ったのか? そのきっかけについて少しお話させてください。
人口減が叫ばれ、日本全国の自治体からの「移住定住」の声がこだまする昨今、もちろん沖縄からもその声を聞かないわけではないけれど、それこそ秋田などとはどうもテンションが違うぞ、と感じていた僕は、宮城県仙台市から沖縄県うるま市に移住したある友人の言葉を聞いてその理由がわかりました。彼はこう言ったんです。
「うるま市全体の人口は2040年まで増える見込みです。移住者(社会増)の数もほぼ毎年プラスです。」
なにーーー!!!
いやほんっと驚きました! たしかに昔から「沖縄に住みたい」っていうのは、「都会の喧騒から離れたい」というか、もはや「一日中ドラクエしたい」「昼まで寝たい」と同義っていうか、のんびりしたいって気持ちの象徴みたいな言葉だから、「そうだ 京都、行こう。」くらい即効性のあるワードだと認識してはいたんですけど、このご時世でなお移住者が増えてるって、さすがにすごくないですか? なるほど。その余裕からくるテンションの違いなんだなと、はい、わかりました。
そこで僕はさらに、その言葉を放った彼自身がどうして沖縄の、しかもうるま市に移住したのか? と聞いてみたところ、お試し移住の話と、もう一つ「しま未来会議」という興味深いプロジェクトの話を教えてくれました。この「しま未来会議」は、沖縄の中でも人口減少が進むうるま市島しょ地域の住民と行政が連携し、「誰でもいいから移住してくれ!」と、無闇に数を増やそうとする前に、どういう人に住んでもらいたいかを島の人たち自身がまず発信しよう。そのためには、どんな島にしたいかというビジョンを、島に暮らすみんなで話し合って決めよう! というもの。
これ、めちゃめちゃ良くないですか?
「ペッパーくんも数にいれていいんだったらとりあえず次年度予算で100体買います!」くらい言っちゃいそうな全国の自治体の、喉から伸びる手の長さはホラー級の切実さです。そこまでの切迫感がない沖縄ゆえの考え方だとは思うんですが、でもこれって本来、全自治体が考えなきゃいけないことだと僕は思いました。
というところから、俄然興味が湧いたうるま市。実は前述のうるま市に移住した友人で、現在「一般社団法人プロモーションうるま」で働く、菊地くんを案内人に、ふだんは兵庫県に住む僕、藤本智士と、アシスタントの山口はるか(はっち)。さらに、僕が尊敬してやまない沖縄のクリエイティブエディター「アイデアにんべん」の黒川真也さん(しんやにいにい)&祐子さんご夫婦と、デザイナーのオクマタモツさん(タモさん)の総勢6名で、今年の夏に島を巡った記録が今回の一連の記事になります。
僕たちの取材記事を読んでくださった方が、まずは一度うるまに訪れてみたい! と思ってもらえたら幸福です。